2008年7月30日

日本体育協会上級コーチ講習会

連日、日本体育協会上級コーチの講習会に参加しています。朝9時から夜7時まで講義がぎっしりと詰まっています。今回の講習会は共通科目となり、テニスだけではない他競技団体の方々も参加しています。会場では、バレーボール部の宗雲監督にも再会しました。私の左隣の席はラグビーの方、右隣の方はアスレチックトレーナーの方、後ろの方はバレーボールの方です。色々な競技の指導者の方々との交流を通じて、新たな引き出しが増えていることを実感しています。明日が最終日となります。


2008年7月28日

46年振り、慶應義塾高校が夏の甲子園出場

母校である慶応義塾高校野球部が46年振りに夏の甲子園出場を決めました。その報道が今朝の日刊スポーツ1面に大きく掲載されています。錦織圭選手がデルレイビーチ国際で優勝した時も同じく日刊スポーツ1面に大きく報道されました。

日刊スポーツ1面の見出しは『慶応が来た』です。私が監督を務める慶應義塾大学テニス部の部員も大きな刺激をうけたはずです。今までに成し遂げたことのない目標を達成すると人生が変わります。慶應高校野球部関係者は自らの手で人生を変えました。

これから始まるシーズン。今まで成し遂げられていない目標が目の前にあります。その目標に向けて部員たちが一致団結した時に待っているもの、それはみんながいまだ見たこともない世界だと思います。慶應高校野球部の活躍には大きな勇気をもらいました。是非甲子園でも初戦の松商学園戦から飛ばして優勝を目指して欲しいと思います。


2008年7月27日

国際スポーツ社会学会@京都大学

本日より京都大学にて国際スポーツ社会学会が開幕しました。私も今回の学会で発表することになっており、京都大学まで来ました。日本人の参加者が多いかと思っていたのですが、予想以上にアジアからの研究者が多く、驚きました。大学スポーツに関する各国の研究事例も多く、非常に参考になります。S級エリートコーチの講習会、ATPプロフェッショナルコースの講習会に続いて、今回のような学術的な研究発表の機会は自分自身にとって新たな引き出しを増やす貴重な機会になります。学生たちには文武両道を貫くことを口酸っぱく指導しているので、私も負けるわけにはいきません。



2008年7月25日

テニスの楽しさを広める活動:『PLAY+STAY』コンセプト

今年4月より、慶應義塾体育研究所非常勤講師として、一般学生向けの授業を受け持っています。そして、前期の授業が終了しました。普段はプロ選手や経験者を指導することが多い自分自身にとって、初級者を教えることは初めての領域です。

先日参加したATPプロフェッショナルコースでは、全世界のテニス初心者が1回目テニスをした後、2回目以降にテニスをする確率が低いとのデータを紹介し、いかにテニス初心者に対してテニスを楽しんでもらうかが鍵だと力説していました。まさに目から鱗が落ちる思いでその話を聞いていました。

サッカーやバスケットボールに比べてテニスは初心者にとって難しいスポーツの1つだと思います。動いてボールの打点に入り、しっかりとラケットの真ん中にボールを当てるのは初心者にとっては難しい技術です。

そこで、ITF(世界テニス連盟)が提唱しているのが、PLAY+STAYコンセプトです。テニスは簡単、楽しい、健康的である、とのメッセージを届けています。具体的には、初心者にはスポンジボールでのミニテニスからテニスを始めてもらうコンセプトです。

たしかにこれであれば、初心者も思い切りラケットを振れますし、コートカバーもそこまで大きくなく簡単に楽しくテニスが出来ます。世界に通用する選手が出てくることは非常にエキサイティングなことですが、一方でテニス愛好家が増えてテニスコミュニティーが広がることもまたエキサイティングなことだと感じています。


2008年7月24日

フェデラーを破った男

トロントマスターズシリーズ2回戦で世界ナンバーワンのフェデラーがフランスのシモンに2-6,7-5,6-4で敗れました。これで234週続けてきたフェデラーの世界ナンバーワンの座が危なくなってきています。フェデラーも機械ではなく人間なのです。ウインブルドンでの激闘は世界の多くの人々に物凄い衝撃を残しました。一方では、ウインブルドン6連覇を逃し、絶対に負けてはいけない芝生でナダルに負けた事実を消化しきれていないものがあるのだと思います。フェデラーにはコーチがいません。現在の世界テニス界では異例のことです。『次に向かって気持ちを入替えればいい』と簡単に片付けてしまうのは、世界ナンバーワンの選手に対して失礼だと思います。こういう大きな重圧や葛藤を抱えながら世界ナンバーワンの位置を守り続けているから尊敬されるのだと思います。

ロンドン五輪で金メダルを取るまで現役選手を続けるとフェデラーは公言しています。どのようなモチベーションを持って今年のシーズンを戦うのでしょうか。北京五輪への参加を表明しているフェデラーは自国の世界トップ10選手であるバブリンカと今大会ではダブルスを組んでいます。先にシングルスに負けてダブルスのために大会に残るのはフェデラーにとってほとんどない経験だと思います。どのように気持ちを整理するのでしょうか。人間、フェデラーの踏ん張りどころだと思います。

今大会でフェデラーを破ったギレス・シモンは1984年生まれの23歳です。私はフランスのシェルブールチャレンジャーで当時18歳の彼と対戦したことがあります。自慢にならない過去ですが、結果を振り返ってみたのですが、3-6、7-6(5)、2-6での敗戦でした。身体の線が細くて、足もあまり使わず手打ちのようなショットを打つ何でもない選手でした。当時、まさか彼が5年後に世界ランク20位台まで上がるとは夢にも思いませんでした。同じ大会にはツオンガ、モンフィス、バグダディス、ティプサレビッチも出ていました。彼らも今では世界トップ30入りしています。

あの時代を懐かしく思いました。私がツアー転戦していたのは、グランプリツアー傘下のチャレンジャーレベル、フューチャーズレベルです。野球で言えば3A、2Aというメジャー傘下のレベルです。体育会の大学生で言えば、関東学生の予選回りです。このレベルで戦うの一番難しいのです。上のグランプリレベルを見ると、自分が上の選手に勝つのは厳しいと考えてしまい、同じレベルを見ると、諦めている選手もいてその方向に流されそうにもなります。大会には観客も少なく、多くの人から注目されない環境に身を置いていると、いつの間にか何のためにやっているのか目的を忘れそうになります。どこかで諦めている自分と対峙することになります。

結果的には私はグランプリレベルに上がることは出来ませんでしたが、あの苦しい時に諦めなかったことが、今指導者として活動をしている自分の支えでもあります。ツアー転戦は孤独との戦いでもあり、夜の街に吸い込まれていく誘惑に負けそうな時も多々ありました。世界各国にはネオンが輝く街がありました。もしそのまま誘惑に負けていても結果は同じですから多くの人はばれなかったとも思います。

そんなことを考えていたら、慶應テニス部を卒業してプロ活動をしている松永浩気から『今の自分を支えているのは、坂井さんに言われた、今自分に負けたら後悔する、との言葉です』と言われました。松永浩気は高校時代には無名で、慶應で大きく伸び最後は大学チャンピオンになった男です。そして、大学卒業後、スポンサーがない中、彼の同期が日本のトップ企業に入っていく中、彼は迷いなくプロに転向してツアー転戦しています。周囲でとやかく言う人はたくさんいると思います。そんな男を指導できることを誇りに思います。私は大学卒業後にプロになる気持ちがあったにもかかわらず、安定を求めて就職する道を選んだ人間です。回りには腰が『痛いから』と言い訳で武装してテニスから離れていきました。そしてその後の自分を待ち受けていたのは、言い訳で武装したものの、『なぜあそこでテニスをする道を選べなかったのか』という後悔の念でした。私の後悔や失敗を松永には繰り返して欲しくないと思います。

諦めるのは簡単です。勝負の世界では諦めた人は確実に表舞台から消えていきます。プレッシャーのかかった場面は『うそ発見器』と同じだと思います。普段からプレッシャーのかかった場面を想定していない選手は確実にそのプレッシャーに敗れていきます。そこで、言い訳という武器を使うと周囲の人々には武装することが可能です。しかし、その後もうそ発見器と言い訳という武装の繰り返しの人生となります。これまた過酷な人生だと思います。

フェデラーがここで言い訳という武装をするのかしないのか、どう打開していくのでしょうか。世界ナンバーワンとしての姿勢に注目したいと思います。我々がスポーツから学べること、世界トップから学べるものがあると思います。


以下がフェデラーの試合後のコメントです
"I had some missed opportunities that cost me dearly in the end, so it was a disappointing match today,"

"It's important to stay positive. The hard court season just started. It's the start of, what is it, nine months of hard court? It's not the end of the world, but I wish it could have started better."

以下からフェデラー対シモンがダイジェストでチェックできます
http://en.sevenload.com/shows/ATP-Masters-Series-TV/episodes/hAjlskG-Toronto-Daily-Highlights-23-07-08

以下からフェデラーの大会前のインタビューがチェックできます
http://en.sevenload.com/shows/ATP-Masters-Series-TV/episodes/dtJUAO7-Toronto-Interview-Federer-20-07-08



2008年7月23日

バスケbjリーグ

日本に帰国しました。久しぶりに日本国内の新聞や情報を目にしています。

日本経済新聞のスポーツ欄において、バスケットボールbjリーグのチームがシーズン開幕前に勝利祈願に訪れた様子が報道されていました。バスケットボールbjリーグをご存知ない方もいるかと思いますが、簡単に説明すると、日本のバスケットボール界は企業スポーツを引き継ぐ日本リーグの実業団、地域に密着したクラブスポーツ発展を目指すbjリーグなどが対立している状態が続いています。一連の騒動に関して私は詳しいことは分かりません。どちらにしても、バスケットボールに馴染みの少ない、多くの日本国民にとっては、メディアで少しでも多くバスケットボールに関する報道がされれば身近な存在になると思いますし、チームや選手たちにステイタスを感じるようになります。だからこそ、マイナースポーツであるバスケットボールにとって、今回の報道は本当に大きな前進だと思うのです。私の銀行員時代にお世話になった先輩も銀行を辞めて現在bjリーグのプロジェクトに携わっておられます。

日本国内で行われる女子ゴルフとテニスのグランドスラム大会決勝戦を比較した時に、どちらがより世界で注目を集めている試合であるかは明らかです。しかし、現在、日本国内においてスポンサーが集まりやすくメディアに顔を機会が多いのは、テニスのグランドスラム大会決勝戦ではなく女子ゴルフです。この事実に関しては、様々な背景や要因がありますし、特段批判することではありません。どちらにせよ、世界の中で話題になっているのは、この間のウインブルドン決勝戦、ナダル対フェデラーの死闘なのです。洞爺湖サミットで何が話されているのか、G8で何が表明されたのか、知っておくことは世界の常識でもあります。日本国内のことだけに井の中の蛙になるのではなく、世界のスポーツ界の常識を知っておくことはこれからの日本にとっても重要だと思います。

マイナースポーツにとって、少しでもメディアに顔を出す機会が増えるのは本当に大きなことです。それにより、多くの国民がそのスポーツに興味を持ち、そのスポーツにステイタスを感じるようになります。そして、試合での観客が増え、放映権料が発生するようになり、グッズ販売が増え、大会や選手にスポンサーが付くようになれば、競技自体にお金が集まり、協会や指導者はジュニアや一般の人に対する草の根活動を行うことが可能になってきます。そうすると、5年から10年後には全国各地から世界に通用する選手が出てくるような循環になっていくと思うのです。

それは国や都道府県の仕事でもあります。国からのスポーツに対する補助も増えています。JOCに対する国からの補助金がアテネ五輪前に比べて5割増になっているとのことです。アテネ五輪後からの4年間で約80億円が選手強化に充てられています。国は約190億円をかけてナショナルトレーニングセンターという素晴らしい施設を作りました。スポーツ省が作られる可能性も出てきています。国も理解を示している今、何かが変わる可能性が出てきています。2016年の東京五輪招致は日本スポーツ界を大きく変える、また日本を明るく変える大きな機会でもあります。

bjリーグの頑張りを目にして、マイナースポーツにとっても明るい未来を感じています。


アメリカ版ナンバーの表紙はウインブルドン決勝・ナダル対フェデラー


本日発売のナンバーの表紙は水泳の北島康介

【番外編】


先日ミズノ新ウェアの打ち合わせで、慶應高校テニス部監督である塚原さんのオフィスにお邪魔しました。塚原さんは京辰の社長でもあります。成田空港ユナイテッド航空出発便ゲート前のお店ではいつもお世話になっています。モンゴル行き前には朝青龍も立ち寄っていきます。


塚原さんが広報戦略面でサポートされている石原宏高代議士の新ポスター。石原宏高代議士は私の興銀時代の大先輩でもあります。


2008年7月22日

日米大学のスケジュールの違い

アメリカの大学でプレーしている選手が日本に帰国して慶應で練習しています。関口亮選手もその一人です。現在、彼はワシントン大学でプレーをしています。ヘッドコーチは元プロ選手のマット・アンガーが務めている大学です。私もジュニア時代にジャパンオープンでプレーしていたアンガーからサインをもらった覚えがあります。

アメリカの大学では、夏休みより前半に団体戦、夏休みを挟んで後半に個人戦が行われるスケジュールになっており、夏休み(6月~9月のほぼ3ヶ月間)はフューチャーズ大会に出場することが可能となります。

一方の日本は夏休みに入るこれからが試合の本番となります。夏季関東学生、全日本学生、関東リーグ戦、王座と試合がひっきりなしに続いていきます。スケジュールに関しては、日本テニス協会が主導となってスケジュール作りをしていくのがベストです。学生連盟だけでは世界の流れ、ジュニア→大学→プロという流れにスケジュールが関係してくることが分かりにくいと思います。


2008年7月21日

MAUI島にて

新婚旅行でmaui島に来ています。
現在、学生は試験期間中です。

こちらではESPNで毎日スポーツの情報を得ることができます。大リーグのオールスター、ゴルフの全英オープン、ツールドフランスなどなど世界的な大会が放映されています。

全英オープンで、途中まで首位を走っていた53歳のグレッグ・ノーマンも連日テレビに顔を出していました。彼はテニス元グランドスラムチャンピオンであるクリス・エバートと再婚したばかりです。愛の力でしょうか。

そして、大学スポーツがどんどん放映されます。今日はUSC対UCLAの陸上対抗戦が放映されていました。USCとUCLAはロス地域内にあるライバル校なので、日本で言えば、早稲田と慶應のような関係です。

そして、大学スポーツのヘッドコーチ(日本でいう監督)がどんどんテレビに出てきてコメントをしています。そして、選手が抱えている精神的な葛藤などを話します。結果だけではなく、チームがどのような課題を抱えていて、競技としてスポーツをする上で何が必要なのかをしっかりとコメントしています。そのようなコメントを聞くことで、国民がスポーツをよく理解していくのだと思います。何より、スポーツの指導者が非常にリスペクトされています。

男子PGAツアーのメルセデスベンツカップが行われるカパルアクラブにも行ってきました。タイガー・ウッズ、セルジオ・ガルシアなどの歴代優勝者を連ねる大会でもあり、会場は名門クラブです。隣になるカパルアテニスクラブでは、USTA(アメリカのテニス協会)が行っている活動に関して、テニスクラブのコーチからヒアリングも出来ました。USTAはUSオープンで得た莫大な収益を、強化活動だけではなく、ハワイの地域活性化、ジュニアサポート、シニアサポートなど幅広い活動に充てています。

そういう地道な活動により、多くのアメリカ国民が観るテニスを理解し、プレイするテニスを楽しむことが出来るのだと思います。ハワイのコナ島で行われていたワイコロアチャレンジャーは来年からホノルルでの開催になるそうです。会場を提供していたヒルトンがスポンサーから下りてしまうのが原因とのことです。台湾のルーも優勝し、添田豪・岩渕聡組もダブルスで準優勝したアジア選手にとって縁起の良い大会だっただけに残念です。

本屋に行くと、SPORTS ILLUSTRATED誌(日本でいるNUMBERのようなスポーツ雑誌)の表紙がウインブルドン決勝のナダル対フェデラーでした。テニスがこの雑誌で表紙を飾ることは滅多にないことです。それだけあの決勝戦が歴史に残る激闘であったことをアメリカ国民が認めているということです。

こちらに来てからも、海辺を走り、ウェイトトレーニングをしています。今日、ウェイトトレーニングで一緒だった13歳のアリゾナ出身の少年は、『あんたは何のスポーツをやっているの?』と聞いてきたので、こちらから聞き返すと『俺は野球。だからいろんな種類のウェイトトレーニングが必要なのさ。』と自信満々に話していました。

プールで一緒になったオハイオ出身の家族のお子さんは息子さんがアイスホッケー、お嬢さんが水泳をやっているそうで、やはり、スポーツを通じての教育を大切にしています。そして、オハイオのシンシナティで毎年行われているテニスのグランプリ大会のことを聞くと、目を輝かせて『あの大会は世界のトップ選手が毎年来るから楽しみにしている。』とのコメントでした。世界のトップ選手を見ることが出来ることの重要性を理解しています。

スポーツには楽しむ要素もあり、健康に良いという要素もあり、自立心を養う要素もあり、社会性を養う要素もあり、そして、コミュニケーションを取る要素もあります。色々なツールがあり、多くの人に様々な良い影響を与えていることを感じます。

日本を離れてみて感じることがたくさんあります。



2008年7月 8日

パキスタンから受けた衝撃

ロンドンを訪れた際、インド出身やパキスタン出身の人々を多く見かけたこともあり、
選手時代に1ヶ月間パキスタンの試合に出場したことを思い出しました。

そうした矢先、今朝の新聞でパキスタンのカラチ市内で爆破テロがあったとの報道
を目にしました。あの時に一緒に戦ったパキスタン選手たちは無事なのでしょうか?
秋葉原で殺傷事件がありましたが、カラチの様に東京都内の5箇所で爆破テロがあれば、
不安を通り越して恐怖の日々が訪れると思います。

パキスタンでは、車の多くはスズキ製で、タクシーがスズキと呼ばれていました。
パキスタンは親日国なのです。

パキスタンナンバー2のアキール・カーンがウェアの袖にピザハットのパッチを付けて
いたので、どんな契約内容か聞いてみたら、月に2回ピザハットでピザ食べ放題の
契約だと言っていました。普通の選手はパッチをつけることによって、契約金をもらえる
のに、まさかピザ食べ放題とは。そして、その1回分を私との食事に当ててくれました。
アキールは本当に優しい奴でした。

パキスタンナンバーワンのアイサム・クレシはダブルスで世界トップ60入りを果たして
います。日本の平均月収を聞いて本当に驚いていました。そして、彼はイスラエルの
選手とダブルスを組んで自国から批判を浴びた後、今回のウインブルドンでは敵国
であるインドのボパナとダブルスを組んで本選2回戦まで勝ち上がっています。
まさにテニスを通じて世界平和を唱えています。そういう人格者はセカンドキャリアでも
必ず成功すると確信しています。

今年に入り、男女ともにグランドスラムチャンピオンを輩出したセルビアの選手たちも
自国内で空爆を受けた過去を持っています。グルビスという期待の若手選手を輩出
したラトビアも裕福な国ではありません。そういう国の人たちのメンタリティーはハングリー
という言葉そのものでした。

これから将来、日本が様々な分野で世界に出ていくためには、そういったメンタリティー
を理解する必要があると思います。その上で、日本国民がワールドワイドなスポーツに
接する機会を提供することは重要です。

そして、最近ではNHKに続いて、WOWOW、GAORAではその映像を観ることが出来ます。
本当にありがたいことですし、幸せなことです。
テニスが世の中に対して影響を与えることの出来る可能性は無限です。


2008年7月 7日

ウインブルドン男子決勝

ウインブルドン男子決勝戦、ナダルは歴史に残る激闘をものにしました。
6-4、6-4、6-7(5)、6-7(8)、9-7
このスコアだけには現れてこないものがたくさん詰まっていた試合でした。

第4セットタイブレークでのナダルのマッチポイントを凌いだフェデラーの
バックハンドパスはもの凄かったですが、

それ以上に、ファイナルセットの大事な場面、フェデラーの攻撃を切り返した
ナダルのカウンターショットはもの凄かった。

カウンターショットといってもフェデラーの攻撃はもの凄いプレッシャーであり、
ナダルの手が届くかどうかというぎりぎりのボールに対するカウンターショットです。

もの凄いファイティングスピリットともの凄いコートカバーリングでカウンターエースを
奪うのは本当に凄いことです。

更に驚くのは、ナダルが22歳という若い年齢だということです。
日本で言えば、大学4年生の年齢です。

22歳という年齢で、あのもの凄いプレッシャーの中で自分の力を発揮することは
並大抵のことではありません。日頃からのテニスに対する姿勢が素晴らしいことは
もちろんのこと、人間としてチャンピオンの姿勢を身に付けているのだと思います。

普通の人間であれば、人と違う結果が出てくれば天狗にもあるし、人からの意見
も耳に入れなくなります。ナダルからはその匂いを感じません。そこが彼の凄い
ところでもあると思います。

ラトビアのグルビス、クロアチアのアンチッチとシリッチ、キプロスのバグダディス、
セルビアのティプサレビッチなど、小国から恵まれた環境ではない中から世界トップ
への道を歩んでいく彼らの背中からも、世界で戦う逞しさが匂ってきます。

ウインブルドン男子ベスト32の中に7人、私が現役時代に練習をしたり、試合を
した選手がいました。世界トップの彼らが持つ匂いが今でも私の中に残っています。

改めてその匂いを、私の中で整理したいと思います。


2008年7月 6日

女子日大戦

午前は日吉で男子の練習。
午後は日大で女子の対抗戦。

テニスはネットを挟んだ格闘技です。
試合では、1球のミスやエースが結果に大きく影響します。

その1球は、練習での1球に対する執着心であったり、コート外で自分自身を
見つめることだったりします。

私がプロ選手として活動中にコーチングを受けていた世界的トップコーチ・
ボブ・ブレット氏からは『コート外で起こることが試合の結果に大きく影響する』と
言われ続けました。

何事にも全力を尽くせない人は、試合で全力を尽くすことは出来ない。
ウェイトトレーニングで痛みから逃げる人は、試合でもプレッシャーから逃げる。
練習に行きたくない時に練習から逃げる人は、試合でもプレッシャーから逃げる。
練習で1球を大切にしていない人は、1球に泣く。
そう言われ続けました。

チェコ男子テニスにステパネクという選手がいます。
彼のテニスに大きな武器はありません。しかし、世界ランク15位にいます。

ウインブルドンで彼のウォームアップから練習を見ました。
練習30分前からコートに現われ、丁寧にグリップテープを巻いたり、体幹を鍛えたり、
チューブトレーニングをしたり、1球目からもの凄い集中力で練習します。

彼の試合では、大事な場面でサービスがオンラインで入ったり、パスが抜けたり、
他の選手とは違う勝負強さが目に付きます。それはすべて練習での出来事に
すべて起因しているのだと思います。

そして、今日の女子対抗戦。
日大は関東1部校、慶應は関東2部校。
昨年10月の入替戦では、日大のホームコートで慶應は日大に敗れました。
あれから約半年が経過。

今日の試合では、日大のメンバー選手はほとんど出てきませんでした。
我々は2部校ですから仕方ありません。結果は慶應の7対0での勝利。
結果よりも大事なことがあります。

試合後、ナンバー1で出場した渡邉廣乃が『頭で考えるほど、足が動かなく
あるのが分かった。だから、足を動かすことに集中した。』と話していました。
半年前の入替戦では、彼女は自分の力を出せないまま敗れました。
相手は格下でしたが、彼女の精神的な成長が感じられました。

昨年の入替戦後、彼女は自分自身を見つめました。
将来、テニスにどのように関わっていくのか。高校までの自分、大学からの
自分、そういったテーマをとことん考え抜きました。

その結論は、大学では指示を待つのではなく『自立』することを学んでいる、
将来はプロとして活動する、という2つの結論でした。人間的な大きな成長です。

そういったプロセスがコート上における彼女の成長に大きく影響しています。
テニスはメンタル要素が大きなスポーツですから、コート外で自分をみつめることが
本当に重要なのです。

多くのジュニアは、テニスを始めた時に『将来はウインブルドンで優勝したい』
『プロになって活躍したい』と考えていたはずです。

私もそうでした。ある時プロで活躍している選手との現実的な差に気づいて、
絶望する瞬間がありました。私にとっては、それが大学4年のときでした。
『腰が痛いし、プロでツアー転戦するのは無理。ビジネスの世界でキャリアを築こう。』
そう言い訳を用意して、テニスの道を断念しました。
本当は腰なんてそこまで悪くないのに。

しかし、私の場合、納得してプロの道を断念したと考えたはずでしたが、就職してから、
9歳から22歳まで13年間も続けたテニスを失った焦燥感との戦いが始まりました。
どんな言い訳を用意しても他人にはごまかしがききましたが、自分にはごまかしが
ききませんでした。だから、多くの人に反対されても28歳でプロに転向したのです。
自分をごまかさない生き方はそれしかなかったのです。

だからこそ、とことんテニスに取り組めない人には、何とか自分自身を見つめ直して、
自分が精神的に成長する過程をとことん楽しんで欲しいと思うのです。

テニスを止めた時、いかに自分がテニスを好きだったかという現実に、必ず気付きます。
でも、テニスを止めてからでは遅いのです。
テニスをしている今にどうやって気付くことが出来るのか。
自分自身が失敗しているからこそ、その気付きのきっかけを与えることが私の仕事だと
感じています。


2008年7月 5日

男の約束

男子部員2名と、9月までの目標、その目標に向けて実際に実行すること、
それを決めました。

私の目標は、9月までに現役としてプレーできる体力を戻すこと。

毎日のランニング。
週2回のウェイトトレーニング。
週2回のビリーブートキャンプ。

これらを約束しました。


2008年7月 3日

ATPプロフェッショナルコース

ロンドンから帰国しました。一言、本当に貴重な経験をしてきました。

参加者は8名。世界全地域から集まりました。
日本から私と加藤純君。
アルゼンチンからチャルペンティエ。私と同年齢のジュニアナンバーワンで元世界トップ100。
ドイツからジナー。元世界トップ150。
イギリスからベイツ。元デ杯選手、デ杯監督、元世界トップ50。
スイスからクラトヒビル。元世界トップ30。
南アフリカからクーニング。元ダブルス世界トップ20。
オーストラリアから現役選手のデュレック。

講演のスピーカーもそれぞれの分野のトップの面々でした。
テニスビジネス、プロショップマネジメント、ジョブリサーチ、ジャーナリズム、自国のテニス協会との関わり方、トーメントマネジメント、エージェント、オンコートコーチング、10歳以下の選手へのコーチング、一般的なキャリアトランジション、選手からコーチへのトランジション等々。

講習の中でどのスピーカーも繰り返して言っていたのは、ネットワーク。
今回のメンバーとはいいチームが作れました。
みんなそれぞれの自国トップで活躍しています。

あとは宿題をしっかりと提出してATPからの合否を待つのみです。
因みに合格すると日本人としては初めての資格となります。


アオランギ練習コートでフェデラーと再会しました


バグダディスとも再会しました


加藤純君とウインブルドンセンターコートの試合を観戦しました


ボブの教え子であるシリッチはベスト16進出


元選手でありフランステニス協会の所属しているフルーリアンの講義


銀行員時代の同期と再会


コース終了後に全員で撮影しました


USPTR、USPTAのコーチング資格も取得できます